最適化技術

準最適  “最適”という言葉は魅力的です.文句の付けようがありません.しかし,実際には合格レベルに達していれば良いものです.時間の許す範囲で複数の候補を比較し,合格するものが現れたら,それを採用します.合格するものが複数あったら一番優れているものを選びます.これを“準最適”と言います.
 ところが,要求が厳しくてなかなか合格するものが現れない場合があります.準最適解法ですと試行錯誤を延々と繰り返す事態に陥ります.半導体露光装置の投影レンズ調整は当にそれでした.出来が悪ければ前工程に戻すしかありませんが,絶対に無理だと分からない限り,諦めがつきません.
 こういうときに真の最適解法が必要になります.最適解でも不合格ならば諦めがつきます.問答無用で前工程に差し戻しです.このとき,数理計画法(線形計画とか整数計画とか言う方法)が役に立ちます.日本の大学には優秀な先生方がいらっしゃるので,躊躇なく相談するべきです.ただし,相談する側に数学的素養は必要です.素養がないと「先生,何とかお願いします」と言って丸投げしようとするでしょう.しかし,先生方は現場のことが分かりません.最悪,仕事の押し付け合いみたいな状況に陥いる場合があるようです.
 一方,企業側に数学屋がいれば,先生の指導を現場で反映できるので,仕事はスムースに進み,次々と成果が現れます.信頼関係が生まれ,関係する人は仕事が楽しくなり,現場の技術者も進んで学ぶようになります.実践によって数理計画法の知識も身につき,最後は現場だけで改良できるようになります.これは実際に経験したことですが,見事な産学連携だったと思います.
 数学屋ほん舗では,真の最適解法に拘ります.数理計画法であれば専門家をご紹介します.それ以外の方法であれば,最適化のコツを身に付けた私共が引き受けます.
 それ以外の方法と言うのは,例えば有効チップ数の最大化です.詳しいことはリンク先のwebページに書いてありますが,簡単に申しますと,無限あるいは膨大な数の候補の中から,最適解の必要条件に一致する候補を選び出して絞り込んでゆきます.そして,十分に絞り込めたら,その中から一番良いものを選ぶのです.ポイントは,最適解の必要条件を見い出すことです.これがコツに相当します.一言で申しますと,それを外すと必ず悪くなってしまうような条件です.そのような条件を数式で表現できれば,最適化はそれほど難しくありません.
最小2乗法 最も良く知られた例に最小2乗法があります.これは,2乗和を評価関数として表して谷を抽出します.こうすることで候補が無限にあった連続領域から,有限個の候補に絞り込んでいます.谷のところでずれれば必ず上がりますから,最適であることの必要条件を満たしています.この条件を数式で表すと,2乗和を形状係数で微分した1次導関数がゼロで2次導関数が正になることです.実は線形計画法も似たような方法で最適解を導いています.


(2017年11月18日 更新)
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