(2) 制御系モデルの作成

 制御系モデルの情報もOpenModelicaの例題から読み取りました.ギヤの静止摩擦やモーターのピーク電流などの非線形要素については, そもそも線形表現できませんから,これらのモデル化は省いています. また,例題では加速度指令値が入力されていましたが,どのように使っているのか解読できませんでした.他にも解読できない部分はありましたが, 凡その見当はついていたので,下図に示すSimulinkのブロック線図モデルを作りました. なお,下図の中で赤い丸印で囲んだ状態空間モデルが機構系モデルです.ここで示したSimulinkのブロック線図を制御系モデルと言っていますが,実際はこれは制御系も機構系も含んだ全体系モデルになっています.それ以外の部分は各関節の制御系と入出力を示しています. 青色の端子は入力です.番号1~6は各関節軸に入力する速度指令信号,7~12は重力の影響で作用する各軸負荷トルクです. 一方,黄色の端子は出力です.番号1~6は各関節軸の角度,7~12は各関節軸の駆動トルクです.

Modelica_Operation 
 各軸の制御系は6つの制御ブロックに記載してあります.いずれの軸もパラメータ構成は同じですので,ここでは第1軸の制御ブロックで説明します.
 下の図をご覧ください.左端に並んでいる青色の端子は入力です.1は速度指令値,2は回転角度の指令値,3は回転角度のフィードバック信号です. 出力信号は右端にある黄色の端子1つだけで,これは関節軸の駆動トルクです.途中にある白いブロックは,OpenModelicaモデルに記載の制御パラメータで表現した伝達関数やゲイン,比較演算子などです.一方,オレンジ色のブロックは,OpenModelicaに記載のなかったオリジナルの伝達関数とゲインです.位相進みフィルタとノッチフィルタは安定化に必要でした.また,駆動トルクをOpenModelicaモデルに近づけるため,速度フィードバックループのゲインを全軸で10分の1に弱めました.それから,期待した移動プロファイルとなるよう,各軸の出力値には各々適切な出力ゲインを与えています.これらが必要だったのは,全てを線形モデルで表現したことによる誤差を補うのに必要だったからだと思います.
 さらに,ロボットアームの姿勢の変化に応じて,各軸の制御ゲインを変化させています.ゲインスケジューリングという方法です.これを行うことで,関節の動作を指令値に近づけることができました.
Modelica_Operation 
 第1軸の制御パラメータに代入した値と,各軸毎に異なる出力ゲインY1~Y6,位相進みフィルタとノッチフィルタで用いたパラメータz0~z5を下の表に示します.

Modelica_Operation 
Modelica_Operation 
 なお,シミュレーションを実行するときは,Homeページに移動して,シミュレーションの条件を設定します.

Modelica_Operation 

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(2020年 8月30日 更新)
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